図説 古代ギリシア、デルフォイの神託

 古代ギリシアの歴史をアテナイの出来事に偏ることなく記した本となっています

古代ギリシアの全体像を掴むにはおすすめの一冊です

特に文化史に関する記述は豊富で、神々への信仰が政治や経済、芸術や建築に密接に関係していたことをよく知ることができました

そのなかでも、「デルフォイ神託」について興味を持ったのでまとめてみます

・「デルフォイの神託」

f:id:historiai:20210724172511p:plain

ギリシア中部、パルナッソスの山や坂が急で険しいところにあります

光と音楽の神アポロンの聖域で、ここの神託は絶対に正しいという名声が人々を引き寄せました

この聖域は、世界の中心と考えられていてギリシアでは類まれな国際聖域であった。多くの都市から選出された代表者から運営されていた

当時は、地下から蒸気が出ており、それに触れて巫女はアポロン神の言葉を伝えたという伝承がある

アポロン神殿のそばにある「シュビラの岩」は、巫女たちが神託を告げるのに使われていたされている

また、神託は前8世紀から前6世紀にかけて植民活動と密接な関係があり、神託や命令で植民市建設にとりかかった

神託の言葉によって植民活動が正当化されていたのかなと想像されます

巫女の告げる言葉は記録されて、しばしばきっちりした6歩格詩の1行か2行という形で残っている

ストラポンの『地誌』によれば「話によると…この蒸気を受けて韻文と散文で語る。もっとも、散文の神託も神殿に仕えている詩人たちが韻文にする」とある

デルフォイの神託は、語りもせず、隠しもせず、徴(しるし)を示す」というヘラクレイトスの言葉もある

おそらく、巫女の短く曖昧な言葉は受け手の想像力を掻き立て感動させた。その感動が何かの徴として体験されたのかなと思います